親愛なるキューバ国民の皆さんへ
2015年7月、キューバと米国は1961年の米国による一方的な国交断絶宣言以来、実に54年ぶりに国交を回復しました。これは、米国による理不尽で執拗な攻撃をはねのけ、団結して革命を推進してこられたキューバ国民の皆さんの勝利を意味します。また、米国政府の対キューバ政策の変更は、対キューバ敵視政策が完全に誤りであり失敗でもあったこと、そしてキューバ革命が正当性、先進性を持っていることを世界に強く印象付けました。
とはいえ、1962年からの米国による対キューバ経済封鎖は半世紀を過ぎた今でも解かれていません。いささかの根拠も国際的な合意や手続きもなく、一方的に法律を制定し、それを対外的に適用する行為は国際法を完全に無視した暴挙というほかはなく、さらに主権尊重や内政不干渉を定めた国連憲章にも違反するものです。また、米国によるグアンタナモ基地の不法占拠は100年以上も続いています。米国によるこのような理不尽な行為は、キューバの主権と国民の人権を脅かすだけでなく、世界の平和、安定を妨げ、持続可能な未来社会への道を閉ざす行為であることは明らかです。米国によるキューバ経済封鎖に対する国連総会での解除決議案が、1992年以来今日まで毎年、世界の圧倒的多数の国々の賛成で採択され続けていることがそれを裏付けています。
しかし、トランプ米国大統領はこのような世界中の声に背を向け、この不毛で恥ずべき措置をさらに強化しています。私たちは、このような米国の暴挙に強く抗議するとともに、経済封鎖の即時解除ならびにグアンタナモ基地の即時返還を強く求めるものです。
他方、キューバ革命は新たな段階に入りました。今年4月、キューバ国民の圧倒的多数の意思を反映した新憲法が公布されました。世界の政治経済情勢の変化を踏まえ、国家の進むべき方向を確認し、市民社会のルールとともに国民の権利をより強固にするためのルール、制度を確立する新憲法は、キューバが社会正義を貫く国家であること、国家主権、諸国民の権利を踏みにじる暴力と戦う国家であることを世界中に示しています。また、新憲法は未来社会のあるべき姿を示す手本としての意義を持っています。私たちは、平和を求める多くの日本の皆さんとともに、この新憲法制定を強く支持し、心からお祝いいたします。
皆さんの戦いは、同じように米国の不当な圧力を受け続けてきた中南米諸国民のみならず世界中の人々に勇気と力を与えるものです。私たちは、様々な困難を乗り越えて、社会生活基盤の整備に取り組むキューバ国民の皆さんに、改めて深い敬意を表するとともに、皆さんとの友情と連帯の絆をより一層強めることを決意いたします。
キューバ革命60周年、日本とキューバ国交樹立90周年をお祝いし、友情と連帯の決意を込めて。
2019年5月26日
第53回日本キューバ友好協会定期総会（東京）